2010年11月11日木曜日

不定期連載企画 内燃機関の技術の向上とエコ 第五段 欧州を席巻したディーゼルが流行らない訳

自己満足更新も第五回を迎えました。
今日はヨーロッパで大当たりしたフォルクスワーゲン・ルポのお話から日本でディーゼルが流行らない理由について考えてみます。
日本で初代プリウスが発売された頃、欧州ではフォルクスワーゲン社からルポという小型車が発売され、ルポのディーゼルモデルは3リッターの燃料で100キロ走る車、3リッターカーとして大当たりしました。しかし日本の市場へはガソリンモデルのみが輸入され、ディーゼルモデルは販売されておりません。日本ではディーゼルエンジンは不人気だったためと思われがちですが、実はもう一つ大きな理由があったのです。
ディーゼルエンジンの燃料となる軽油は普通多くの硫黄分を含んでします。これは燃焼させると硫黄酸化物となります。よく聞く硫酸も硫黄酸化物の一種ですから良いものでは無いと分かって頂けると思います。そのため普通は燃料から硫黄を抜く作業、脱硫を行った燃料を使用するのですが、当時の日本の脱硫の規制レベルはヨーロッパに比べるとはるかにユルい物でした。そのため、ヨーロッパ仕様のルポを日本で走らせると排気ガスの有害物質がえらいことになってしまったのです。コストの掛かる環境対策を行うほど売れる見込みが無かったため日本に入ってくることはありませんでした。現在では日本の軽油の脱硫規制は世界でも厳しい部類です(一般的にはサルファーフリーなんて呼ばれるものです)。

そもそも日本でディーゼル人気を無くしたのは東京の一番偉い人です。あのパフォーマンスによってディーゼルエンジンが悪者になってしましました。確かに整備不良のトラックなんかの煙は汚いです。しかしあの方はやり方を間違えました。彼ほどの影響力を持った人間がディーゼルは汚いと言ってしまえば、もう世の中みんながそう思ってしまいます。
実際、上に書いたような脱硫の進んだ経由も当時出てきていましたし、新車のディーゼルは全然綺麗なものでした。彼自身ではディーゼルの全てを否定したつもりは無かったと思いますが少し軽率でした。事実、日本の乗用車業界では異端だったディーゼル車をメインに据えるいすゞが乗用車撤退に踏み切ったのは無関係とは言えないでしょう。それほどディーゼル車が売れなくなりました。
こうして、ごく最近まで知識人と呼ばれる人にさえディーゼルエンジンは理解されずに現在に至ったわけです。次はハイブリッドカーについて書こうと思います。


ランキング参加中です。 もし宜しければクリックお願いします.
人気ブログランキングへ

0 件のコメント:

コメントを投稿